ナビのメインハーネスが無い!(カロッツェリア編)

みなさまこんにちは、ムラカミです。
先日、ホンダ フィット(GK3)に搭載されていたメーカー純正ナビ(インターナビ)を社外品のナビに交換する作業がありました。
外装や足回りなどの作業は別の業者様で作業中で、そこに当店が出向いて作業を行いました。
お客さまからの指定で、カロッツェリアのAVIC-RL711を当店で購入し、その他付属品についてはこちらで確認の上、追加購入することで進めておりました。
お客さまからは、「ホンダの純正ナビやで~」としか伺っておりませんでしたので、作業前に現車の確認をし必要な変換ハーネスを見繕っていました。
ポイントは「純正」という言葉の意味で、メーカーオプションかディーラーオプションかで追加購入する変換ハーネスの種類、数ともに変わることです。
メーカー純正ナビはディーラーオプションナビであるGathers(ギャザズ)ナビよりも車体側ハーネスが特殊です。従って、社外ナビに交換する場合は所謂カプラーオンのコネクターなどひとつもなく、車外ナビメーカーから発売されている「取付キット」を使用する以外の選択肢がほぼありません。
厳密に申しますと、各コネクターのピンアサインを全て調べれば結線自体は可能なのですが、時間的労力とコストを考慮すれば「取付キット」一択といった状況です。
それでは、見繕った変換ハーネスを一つずつ見ていきましょう。

取付キット[KLS-H801D]

まずは所謂「取付キット」として各社外ナビメーカーが販売する、メーカー、ディーラー純正OPナビを社外ナビに交換する際に必要となるものです。
今回はカロッツェリア製のナビを使用するので、同じく同メーカーの取付キット[KLS-H801D]を選定しました。
選定にあたっては、車種別の適合情報を検索し該当する商品があるかどうかが重要です。
こちらの取付キットには、
・インテリアパネル
・ダイレクト接続コネクター
・アンテナ変換コネクター
・取付ステー
・取付ネジ(ナビ側、インパネ側)
が付属しています。
後程記載しますが、KLS-H801Dはインターナビ装着車には一部不適合であることが明記されています。
・カロッツェリア:カロッツェリア車種別JUST FIT
・アルパイン:車種別の製品適合情報
・パナソニック:Fシリーズ装着対応車種一覧
・ケンウッド:彩速ナビ/スピーカー/オーディオ車種別適合情報検索
・エクリプス:車種別適合ジャストフィットガイド
メジャーメーカーの適合検索サイトをリンクしていますので、参考としてください。
なお、ナビと取付キットを同メーカーとすることで、カプラ―オンで接続できるものが多いため適合商品があるのであれば、同メーカーがよいでしょう。
他にも、以下のようなメーカーが取付キットを販売しています。
・カナック企画:カーナビ、カーAV取付キット適合情報
・エーモン工業:車種別製品取付適合情報
・日東工業:カーナビゲーション取付キット BESTKIT ※ページ内PDF参照

その他、オーディオ専門店などが独自に開発したキット等もあります。
マイナー車種や外車などではそのようなキットを利用するのも一つの手だと思います。もちろん私も利用しています。

付属品を含めた取付キット画像

バックカメラ変換ハーネス[RCA051H]

今時の車は、オーディオレス車でもない限りバックカメラがパッケージングされていることが殆どです。
純正バックカメラが装着されている車の場合は、ナビ裏にきているバックカメラハーネスがナビ直結の専用コネクターですので、社外ナビに交換する場合は変換ハーネスが必要です。

今回は、データシステムのリアカメラ接続アダプター[RCA051H]を使用しました。
純正のバックカメラは動作電圧が異なる場合があります。理論的には電源と映像信号さえ用意すれば変換ハーネス無しでも接続は可能ですが、カメラ本体を壊す、映らないといった不具合にも繋がりますので適切な変換ハーネスを利用することを推奨します。
適合検索にあたっては、以下資料を確認しました。
・データシステム:リアカメラ接続アダプター適合表
ハーネスを使用することで、RCA出力端子(オス)に変換し社外ナビのバックカメラ映像信号RCA入力端子(メス)に接続が可能です。
ナビメーカーによっては直にさせる場合と、こちらも変換ハーネスが必要な場合があります。だいたい変換ハーネスは同梱されていますが、念のため確認しましょう。
こちらは、「ビュー切替スイッチ」なるものがついておりまして、カメラ視点を切り替えることができます。
上から見下ろした視点に切り替えますと、一度にたくさんの情報を視覚化できますので「後退時に見やすいですよ~」とお客さまにもおすすめしています。

リアカメラ接続アダプター[RCA051H]

取り付け開始!・・・したものの。

題名のとおりで御座います。
化粧箱を開けて、付属品がそろっているか確認したところ・・・メインハーネスがありません!今時1本はついているUSBケーブルもありません!
入れ忘れとかありえるのか?それとも開梱早々紛失か・・・?と必死で取付説明書を眺めていると、このように注意書きがありました。

ちっさ!見逃すわい!と一人でツッコんでいました。
見にくいので抜粋しますと、
「AVIC-RQ911/RL911/RL711の接続ケーブルは、9Vまたは8V型カーナビゲーション取付キットに同梱されています。取り付けについてはキットに付属の説明書も併せてご覧ください。オプション品又は別売品については「オプション品一覧」を参照してください。」
とのこと御座います。
ふむふむ・・・ということで、オプション品一覧を見てみます。


名称と型式のみのため、適合確認は個別で調査が必要です。
今回は同メーカーの取付キットを購入していたからよいものの、社外ナビから社外ナビへの交換などを行う際は取付キットなんて使いませんから、作業時点で判明すれば即作業中止です。お客さまにもとてつもなく迷惑を掛けてしまいますし、私も仕事ができなくて困ります。
みなさま、ナビ交換時にはナビだけあればなんとかなる時代では無くなってきている様です。気を付けましょう。

その他購入した変換ハーネスやオプション品

■HDMI変換ハーネス■
・[CD-HM220] タイプDからタイプA(オス/オス)
・[CD-HM110] タイプDからタイプA(オス/メス)
使用用途は、ナビ側出力端子(タイプD)からフリップダウンモニター入力端子(タイプA)へのケーブルと、ナビ側入力端子(タイプD)からHDMI入力端子(タイプA)へのケーブルです。
最近は純正OPでHDMI入力のアクセサリーソケットを設けている場合もありますので、こちらに変換することでスマホや各種映像出力機器を接続し、ナビ側で表示することが可能です。

【修正更新】
現在は、CD-HM220からCD-HM221へと更新されているようです。(R4.11確認)
現在は、CD-HM110が販売されていない(在庫がない)ようです。代替品として、ビートソニックのHDC-8のリンクへと変更します。

CD-HM110は品切れのようです。
こちらはビートソニック製
HDC-8
CD-HM221

今回はお客さまよりシガーソケット周りのUSBソケットを増設した専用パネルの取り付け希望があったため[CD-HM110]が使用する必要がありました。
純正のHDMIアクセサリーソケットはナビ裏でタイプAからタイプEに変換されていますので、別途タイプAなりタイプDへの変換ハーネスが必要です。(つまり純正ナビにはタイプEで入力されています。)
お客さま指定のアクセサリーパネルはこちらを利用しました。
新型フィット3専用ロアアンダーカバー USB/HDMIパネルASSY
こちらが純正のシガーソケットパネルにUSBソケットが二つ、HDMIソケットが一つついた拡張パネルです。
純正から交換することで、純正品の見た目で機能拡張・・・といったところです。ガチャガチャと物を増やしたくないけどもUSB端子を増やしたい!という方にはぴったりです。
クオリティですが、フィッティングも良くシガーソケットも移植するだけですので価格を考慮しても「アリ」と思いました。
こういった商品を、例えばAmazonなどでお客さまがご準備頂いた場合も対応致します。
ただし、よくわからないメーカーのものや商品自体のレビュー等が少ない場合、そもそも取付が可能かどうかといった問題も出てきますので、「これってつけれる?」などと購入前にご相談頂けると助かります。

フィット3専用アクセサリーパネル
取付イメージ(Amazon様より拝借)

HDMIの話が出ましたので、現在の端子規格について軽く触れておきます。
細かい説明はDIYラボ様で丁寧な解説があり、画像はDIYラボ様より拝借しました。
カーナビに搭載されているHDMIの端子の種類と、変換方法
ナビ裏を見てどの端子が接続できるか確認して、適合するものを用意しましょう。
HDMIの変換ケーブルは社外ナビ指定OP品でもそれほど高価ではありませんので、可能であれば指定品を使用すると問題発生時の切り分けもしやすいでしょう。
現状、私の感覚にはなりますがAタイプ、Dタイプ、Eタイプともナビでよく出てきます。製造された年式により頻繁に変わっていますので、「社外ナビならだいたいAタイプ~」とは限りません。

DIYラボ様資料1(画像上はタイプE)
DIYラボ様資料2

■音声入力マイク■
・[CD-VM001]
昔は同梱されていたものですが・・・ナビのグレードや種類によっては付いていない様です。
音声入力を利用されるお客さまは私が思っている以上に多い様で、ほぼ必須アイテムと化しています。
こちらはミニピンジャックをナビ裏に直接挿して繋ぐだけです。

音声入力マイク

取り付け開始!・・・したものの。(その2)

フルセグアンテナとGPSの配線を済まして、各変換ハーネスを繋ぎました。あとは取付キットに付属していた専用の変換ハーネスを車体側に繋いで終わり~♪と思っていたら、カプラーが一つ余ります。ナビ裏のどこを探してもありません。
配線の色から、恐らくパーキング線、リバース信号線、車速パルス線の何れか2本が繋げないことはわかります。
取付キットと適合確認WEBサイトにはこのように注意書きがありました。
「メーカーオプションのHondaインターナビ+リンクアップフリー+ETC車載器付車はクラスター一体の異形ラジオで車両のラジオ用配線24Pコネクターの仕様等が異なるため取付不可。」
今回のフィットはずばりこれに当てはまるわけです。
メーカーオプション恐るべしで御座います。

問題となる部分

さて、無事接続できたコネクターと、問題となるコネクターを見ていきましょう。
■24Pダイレクト接続コネクター■
24P自体は接続できました。ただしイルミ信号が取得できていません。
純正カプラーからひとつずつ調査してもいいですし、別途メーター裏やポジションライトの配線から取得してもいいでしょう。

■24Pダイレクト接続コネクターから分岐した2Pコネクター■
画像の赤丸部分です。
配線色がうす緑色と紫色です。社外ナビのメインハーネスがあれば、わざわざピンアサインを確認する必要もなかったのですが、結局WEB検索して調べました。
・うす緑色:パーキング信号線
・紫色:リバース信号線
■パーキング線の取得先
そのままアースに落とします。
■リバース信号線
カロッツェリアの説明ではBCMからの取得か、リアバックランプ(!?)から取得する様に記載があります。
リアバックランプはありえません、ナビ裏まで持ってくるのにリアゲートグロメット、ピラー周りを外すことはもちろん、ルーフライニングまでずらす必要があるかもしれませんので時間が掛かりすぎます。それにスマートではないです。
BCM周りを調査したところ、リバース信号を取得できる線があることはわかりましたが、コネクター付近はカプラーロック兼用のケーブルベア(保護材)が根本までぴったりとはまっています。本来BCM周りを弄るときはサージングなどを考慮してバッテリーを外します。予期しない不具合がでる可能性もあります。
従って、運転席側のサイドステップパネルを外しリアバックランプまで敷設されたケーブルの中から取得することとしました。
なお、画像のとおり最近はメーカー問わず分厚いコルゲートチューブで保護されています。長手方向に切れ目が入っていますので、カッターなどで切れ目に合わせて刃を入れてビニールテープを切って線を露出させましょう。
露出できれば、あとは信号がどのタイミングで流れるのか、テスターを使うなり、検電ペンを使うなり、お任せします。注意点としては、常時電源やIGN電源も複数ありますので、丁寧に1本ずつ調べましょう。短絡させると何かのヒューズが飛ぶ、あるいは何かが壊れます。
結線方法については、「配線の接続について」を見て頂ければイメージが沸くと思います。
ムラカミは今回はスプライス端子で対応しました。

一点、今後もそうですが、ムラカミは「このコネクターの○番目の○○色の配線が○○の信号線だよ!」とは一切お伝えしません。車両の年式やグレードを絞れば確かに確度の高い情報であることは否定しませんが、鵜呑みにする前にまずはテスターや検電ペンで確かめてください。
DIYに励む皆さまには、失敗しない(壊さない)ためにどのように取り組むか。をお伝えしたいと思っています。そうすれば、まったく情報が無い車両でもある程度作業が出来る様になるでしょう。(勿論初見では絶対にわからないことなども沢山ありますが・・・)

2ピンカプラー(リバースとパーキング信号線)
運転席側サイドステップパネルを外したところ

問題点を解決したら

やっと正式な取り付け前の動作確認が行えます。
1.エンジンを掛ける
2.ナビが初回起動(パスワード設定はオフ)
3.ラジオが入るかどうか
4.地デジが映るかどうか(通信状況)
5.音声は正常か(前後、左右、極性)
6.ステアリングリモコン動作
6.車両情報確認(車速パルス以外のリバース、パーキング、イルミ)
7.バックカメラ設定オン
8.リバースに入れてバックカメラ映像確認
9.GPS測位確認
10.ほか、連動機器がある場合はその設定及び連動状況確認
ざっくりですが、こんなところで御座います。
付いている付属品にもよりますが、ナビ交換などですと概ねカバーできていると思います。

新たな問題点

事前に把握はしていましたが、最低限のチェックの後問題点を再度ピックアップします。
1.ETCが通電していない。
2.イルミ信号が取得できていない。

1.ETCが通電していない。
これは、想定の範囲内です。
既存車載器を入れ替えるか、アンテナ線と動作線を切り分けて単独で動作させるか。。といったところです。
ETCは連動機能を無視して考えた場合、常時電源、ACC電源、アース、アンテナ線で構成されます。従って要はこれらが取得できれば問題ありません。

2.イルミ信号が取得できていない。
これは想定の範囲外です。
24Pカプラーで取得できるものと思っていましたので、「シフトゲートか、メーター裏か、BCM(車幅灯)か・・・」と独り言をぶつぶつ言います。
本日は時間切れとなり、ナビ関連はここで一旦中止としました。今回のお客さまは業者様よりご紹介頂き長期間預かり中のお車で、未入荷の追加パーツも多いですので何日かに分けて作業していこうと思います。

言いたかったこと

なぜか取り付け日記のような記事になりましたが、私が伝えたかったのは「必須の付属品が無いこともある(正常)ので、購入前にきちんと調査しましょう!」です。
買ったけど使えなかった、微妙に機能が使いきれない、壊れた(!)、危惧すべきことはたくさんあります。
ムラカミは電装屋ですので、メジャーな変換ハーネスはもちろん特殊なハーネスのある程度在庫しています。物理的に付かないものでもなんとか形にするのが仕事です。
でも皆さまが「さぁ!今日はやるぞっ!」となって作った貴重な1日を1本のハーネスが無いために無駄にしてほしくありません。
調べ方がわからない、何が必要かわからない、といった場合はお気軽にお問い合わせ下さい。わかる範囲でお答えしますし、作業を伴わない調査のみの場合は出張料金のみで現車確認、必要な部材のリストアップまで行います。

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